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日々あったこと・感じたことの備忘録

「LIFE LIFE LIFE ~人生の3つのヴァージョン~」を観て

2019/4/6(土) ~ 2019/4/30(火・祝)まで開演されている「LIFE LIFE LIFE ~人生の3つのヴァージョン~」を観てきました。

シスカンパニー公演で、出演は大竹しのぶ稲垣吾郎ともさかりえ段田安則の4人のみ。人気劇作家ヤスミナ・レザのとってもリアルで緻密な会話劇です。

 

当初は、2006年に上演したエドワード・オルビーの『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』を13年ぶりに初演メンバーで2019年4月に再演予定…、

でしたが、大人の事情により演目変更となりました。

 

ストーリーは、

「ある夜、宇宙物理学者アンリ(稲垣)とキャリアウーマンのソニア(ともさか)夫婦は、自宅の居間でなかなか寝付かない子供に手を焼いていた。

そこに、来客の呼び鈴が…。

なんと、扉の外には、翌日に招待していたはずのアンリの上司 ユベール(段田)とイネス(大竹)夫妻が!!

突然の来訪に慌てふためく二人。

研究が停滞気味だったアンリは上司を夕食に接待して、本当は大切な夜にするはずだったのに、出せる物といったら、食べ残しのスナックくらいしかない…。

こんな悲惨なシチュエーションから始まる3つのヴァージョンの物語が、それぞれ展開していく。」というもの。

 

ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』は、二組の夫婦の間の激しい罵り合いによって夫婦の偽善的関係が浮かび上がっていく三幕の戯曲だったようですが、この『LIFE LIFE LIFE』も二組の夫婦の会話劇です。

 

ホールの中央にステージがあり、四方に客席。お客さんはステージを見下ろす感じに。2階3階席には立ち見の方も。ステージ中央の円形は動く板になっています。

ステージが回転する舞台は初めて見ましたが、

一方の演者が動く板の上にいて、一方は動かない板の上にいるときにステージが動くと、演者と演者は自らはその立ち位置を変えていないのに離れていくので、物理的な距離が心理的な距離にも感じられおもしろかったです。

終始テンポがいいので、クスッて笑って、言動に「ん?」ってひっかかって、こんなことあるよね? と感じて。

同じシチュエーション、同じ登場人物、同じ関係性のはずが、

1つ1つの会話の受け止め方、返し方で次の話の展開が変わってきたり、

かと思えば、同じところに着地して、でもまた違う展開になったり。巧みなさじ加減でした。

正面の席だったからか、夫婦が暮らすアパートメントのすぐ隣に建つ同じ階のビルの窓から、ある夜の日常を見てしまった…って感じ。(秘密めいたことはないけど。)

3つのLIFEが終わったところで、4つ目のLIFEは?

なんて思ったりもしました。

 

大竹さんの「間」の取り方はさすがで、

みなさん、客席を巻き込んでその空間を作る演者さんはあらためてスゴイと思いました。

なので、終わった後の挨拶では、さっきまであんなに堂々とされていたのに、役が抜けて素なのか、なんとなく気恥ずかしそうな表情で挨拶に回られているのが印象的でした。

 

 

 

◆公演期間:2019/4/6(土) ~ 2019/4/30(火・祝)

◆会場:シアターコクーン

◆作:ヤスミナ・レザ

◆演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

◆出演:大竹しのぶ稲垣吾郎ともさかりえ段田安則

◆時間:90分