映画『まく子』を観て
西加奈子さんの小説「まく子」が映画になり3月15日(金)から全国で公開されています。
この小説が出版された際、西さんがなにかのインタビューで
「まく子は、ほんとに「撒く」子なので」というニュアンスの話しをしていたのが印象的で、原作は読んでいませんが、映画を見に行ってきました。
行った劇場は、1日1回の上映。水曜日(レディースデー)ということもあってか、満席でした。
主人公は、ひなびた温泉街の旅館の息子サトシ(小学5年生)
年頃もあって、これまで流行っていたクラスの遊びに疑問を持ち始めたり、
自分の身体の変化に悩んだり、女好きの父親に反感を抱いたり、女将の母親を気遣ったり。
そんなある日、街にサトシと同年のコズエとその母親がやってきます。
なんだか、不思議な雰囲気を持つ親子。
それもそのはず、コズエは「ある目的で地球に来た」とサトシに告げるのです。
時節、枯葉や紙の花を撒き、楽しそうにふるまうコズエが
ラストにはあるものを街に撒きます。(思わずジーンっとしてしまった。)
この映画は厚生労働省とのタイアップ。
ファンタジーの要素もありつつ、
サトシの父親にリアルさを感じつつ、
あれは「大人?」とコズエが聞くシーンにハッとしたり(なにをもって大人なのか?)
変化もこうやって楽しめたらいいなあって思ったり、
思春期のころ悩んでいたのかもしれないのに
この感情って忘れてたな~
学校ってこんな感じだったよな、とか。
「赤ちゃんと僕」のマンガにあった、竹中七海の回なども思い出しながら見ました。
コズエの話を信じて、
大人もこどもみんな揃ってコズエのお別れに行くシーンには
ほっこり。
「砂絵」が効果的で
自然とファンタジーの世界に入っていました。
主人公が、コズエや周りの大人の言葉や行動に
考えたり、自分なりに解釈して飲み込んだり、変化って怖いけど受け入れたり、
大人より大人なときもあって、だんだんと成長していく過程の一部を見せてもらった感じでした。
「再生」という普遍的なテーマについて一時考えさせられます。